世紀の奇蹟と世界に話題をまいた昭和新山(しょうわしんざん)。
標高398 mの小さな山がなぜ世界的に有名になったのでしょうか。
昭和新山がどのように噴火して出来上がったのか?
昭和新山の持ち主はだれなのか?
その記録のすべてが記録され展示されている三松正夫記念館についてお話しします。
昭和新山の噴火
私たちが普段目にしているあらゆる山は、人間がこの地球上に住む以前にできたものです。
しかしこの山は、私達の目の前で造られ、地震、地割、隆起、噴火と山のできる過程が多数の学者によって詳しく観察研究されました。
この山のすべてが、記録として残っているという珍しい山でもあります。
そして国立公園の真ん中にあるこの山が個人の所有物なんですからびっくりしてしまいます。
昭和新山 噴火の様子
それは、昭和18年暮も押し迫った12月28日夕刻のできごとでした。
すでに、火山活動をしていた有珠山周辺に突然激しい地震がおこりました。
地震は何日も続き、ひどい時には1日に206回もぶきみな音とともに地面が揺れ動いたのです。
それは、一時おさまりました。
激しい揺れから半年もたった、昭和19年6月23日になって平地だった麦畑の中に大爆発音とともに直径40メートルほどの火口ができました。
附近一帯約300ヘクタールの林や畑を灰の山にしたのです。
この火口はしだいに隆起しなから一つの火山を造ったのです。
これが昭和新山です。
昭和新山のでき方
昭和18年の12月には.噴煙を上げる山頂から三角形の熔岩塔が現れました。
20年9月20日、周囲4,610メートル、標高295メートルの新しい山に、高さ110メートルの熔岩塔を押し上げ活動を停止したのです。
その期間わすか1年9ヶ月のできごとでございました。
このような型の火山をベロニーテ型といいます。
この山ができた頃は、太平洋戦争の末期であったために、軍部はこの地の変動を不吉なものとして報道を禁していたので、一般には知られておりませんでした。
しかし、周辺の住民は大きな打撃をうけ、復興には多くの年月を要したのでございます。
昭和19年の昭和新山の爆発自体が、有珠山の火山活動だったのでございます。
昭和新山の赤色に見える山肌は、昭和新山が出来る前の土壌が溶岩の熱で焼かれて煉瓦のように固まった、天然レンガでございます。
天然のレンガ覆われている溶岩ドーム部分の地表の温度は、現在でも高いところで100℃ほどあるそうです。
いまでも噴煙をたなびかせている、昭和新山は国の特別天然記念物に指定されています。
昭和新山持ち主は?
さて、この昭和新山が硫黄の採掘などで荒らされることを心配して、 山ごと買い取った人がありました。
その方は三松正夫さんと言います。
三松さんは、この洞爺湖の温泉を発見した人でもありますがこの当時は壮瞥の郵便局長でした。
三松さんは青年時代、明治の有珠山の爆発も経験しており、戦時中のことでしたのでフイルムも自由に手に入らず、写真は写せませんでした。
ですから自分で写生をすることにしました。
これには三松さんの普段の絵心が大変役立ちました。
毎日丹念に状況を記録し続け記録したスケッチを元に「新山隆起図」を作成しました。
昭和22年(1947年)ノルウェーのオスロで開かれた世界火山会議に貴重な研究結果をまとめ発表しました。
そして後にこの記録は、万国火山会議に発表され「三松ダイヤグラム」として大変評判となりました。
この研究結果は、三松正夫記念館に収められ展示されています。
三松さんにしてみれば、この昭和新山は、我が子の様に可愛くてたまらなかったでしょう。
昭和52年の有珠山の爆発、その完全な終息を見ないで昭和52年12月8日89歳で亡くなりました。
令和4年(2022年)時点では、三松正夫さんの孫娘と結婚した三松正夫記念館館長の三松三朗さんが昭和新山の所有者です。
三松正夫記念館での展示物
昭和新山生成の詳細な記録を残した郵便局長三松正夫さん。
幾度と続く噴火の度に危険を冒して山に登り「ミマツダイヤグラム」という詳細な記録を残しました。
「ミマツダイヤグラム」の凄いところは、噴火の様子を時系列で残したことです。
三松正夫記念館には、その「ミマツダイヤグラム」の原図の他、生涯3度の噴火を体験した三松さんの貴重なスケッチや写真等が多数展示されていています。
噴火当時の様子をつぶさに見ることができます。
昭和新山自体が個人の所有物ですから屋外展示ですね。
現在の館長は、三松正夫さんの孫娘さんのご主人三松三朗さんです。
電話番号:0142-75-2365
定休日:無休(1月から3月不定休)
営業時間:夏季(4月から10月)08:00-17:00 冬季(11月から3月)09:00−16:00
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昭和新山のまとめ
麦畑だったところが突然噴火して山ができました。
赤い山肌の昭和新山!
国立公園内にあり国の特別天然記念物なのに個人の所有物という聞いた事がない山です。
洞爺湖にお越しの時は、ぜひ麓まで行ってみてください。
麓に立っただけでその地熱を感じるような感覚になる山です。
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